←ブログ一覧に戻る
AI業界動向2026.10.0510分で読めます

MetaのAIグラス展開とGeminiの対話アバター、Googleの脆弱性調査を読む

MetaのAIグラス展開とGeminiの対話アバター、Googleの脆弱性調査を読む

1. Meta Connect:Museのグラス対応と、開発者向けAPIの正式提供

Metaは米国時間9月23日のMeta Connectで、AIエージェント「Muse」の対応端末や連携サービスを広げる方針を発表しました。グラス越しに見ているものを手がかりに、エージェントへ作業を頼めるようにする構想です。日本向けの発表では、MuseをAIグラスに搭載する日本での時期は未定とされています。Metaの発表

開発者向けには、翌24日の総括でMeta Model APIのグローバルでの一般提供と、Muse Codeのベータ終了・Windows対応を案内しました。モデルを自社サービスから呼び出すAPIと、開発作業を任せるコーディングエージェントの両方で、利用範囲を広げた形です。開発者向け発表

すでに使えるものと、これから提供されるもの

対象発表された内容提供状況
Meta Model API企業向けのサポート・コンプライアンス対応を含む展開グローバルで一般提供
Muse Codeベータを終了し、Windowsにも対応提供開始
AIグラス上のMuse見ているものを入力にして、エージェントへ依頼今後数か月で展開。日本の時期は未定
Muse CharmMuseと音声でやり取りする専用の小型端末詳細は年内に案内予定

MuseにはNotion、Granola、GitHub、Boxなどとの連携も加わります。ただし、「モデルの性能が今回一斉に上がった」という発表とは区別が必要です。Connectでも紹介されたMuse Spark 1.3は9月2日、ローカル実行向けのMuse Glimmerは8月10日に発表済みです。Muse Spark 1.3、Muse Glimmer

Muse Codeの公式ページでは月額5・15・50米ドルのプランが示されています。また、モデルの料金表では、入力内容を製品改善に使う「contributor」と、使わない通常のモデルが別に載っています。たとえばSpark 1.3の100万トークン当たりの入力/出力料金は、通常版が1.25/4.25米ドル、contributorが0.10/0.20米ドルです。安い料金だけを抜き出すと、データの取り扱いが違う選択肢を比べることになります。 月額プランとAPIの従量単価も、同じ料金体系として混ぜないようにしたいところです。Muse Codeの提供・料金情報

Metaの一般提供済みサービスと、今後の端末展開を分けて整理
Metaの一般提供済みサービスと、今後の端末展開を分けて整理

コメント:接続先が増えた価値は、実際の操作で確かめたい

外部サービスを参照したり、複数の作業を続けたりすること自体は、ほかのエージェントにもあります。今回見るべきなのは、Museに任せられる範囲がどこまで広がり、その途中の操作を利用者が把握できるかです。

9月24日に利用体験を公開したTaylor Arndt氏は、自社の業務管理サービス向けにMuseが連携を作成し、認証後に使えるようになったと報告しています。一方、作成中は処理が続いているのか、入力を待っているのか分かりにくく、スクリーンリーダーでの状態通知に課題があったとも述べています。Arndt氏の利用記録

これは少人数でのアプリ利用の報告であり、今後提供されるグラスの実力を測ったものではありません。それでも、連携の有無だけでは分からない使い勝手を示しています。接続に成功しても、承認待ちやエラーを利用者が見落とすなら、安心して作業を任せるのは難しいからです。

国内企業にとっては、提供済みのAPIや開発ツールの検討と、グラスを前提にしたサービス企画では、判断の時期が異なります。特に後者は、日本での利用開始が決まるまで、海外のデモをそのまま導入計画の前提にできません。

2. Gemini Live Avatar:対話AIに映像を追加。費用は音声と別に発生

Googleは9月24日付の発表で、Gemini 3.8 Liveに、発話と同期して動くアバター映像を生成する「Live Avatar」を追加し、Gemini Enterpriseで一般提供を始めました。Gemini 3.8 Live自体は前週に発表済みで、今回の中心は会話の返答に顔の映像を加えられることです。Googleの発表

Google Cloudの仕様では、音声に同期した毎秒24フレームのアバター映像を出力できます。用意されたアバターを選ぶ方法に加え、参照画像から独自のアバターを作る機能もありますが、後者は許可された企業に限定されています。一般向けGeminiアプリの全利用者が、自分の顔で自由に使えるという発表ではありません。開発ガイド、アバターの設定条件

アバターが1分話すと、映像と音声で約0.39米ドル

Google Cloudの標準料金を使うと、アバターが1分間発話した場合の出力費用は、次のように計算できます。

出力の種類公表された単価・換算量1分当たりの計算値
アバター映像100万トークン当たり1米ドル、毎秒6,192トークン約0.372米ドル
音声100万トークン当たり12米ドル、毎秒25トークン0.018米ドル
上記の合計映像と音声の出力分約0.390米ドル

これは会話全体の1分料金ではなく、アバターが話す1分間の出力分です。映像については、相手の話を聞いている待機時間には課金されません。一方で、入力やテキスト出力・推論などの料金は別にかかり、過去の会話内容も各ターンで再処理・課金されます。Google Cloudの料金表

アバターが話す1分の出力費用。映像約0.372米ドルと音声0.018米ドルで約0.390米ドル、入力などは別途
アバターが話す1分の出力費用。映像約0.372米ドルと音声0.018米ドルで約0.390米ドル、入力などは別途

コメント:顔を付ける費用に見合うかは、会話の目的で変わる

今回の仕様では、外部の映像生成システムを別に組み合わせなくても、Geminiの会話に同期したアバターを出力できます。開発上の利点はここにあります。アバターが付いたことで、回答の正確さや業務処理の成功率まで上がったとみなすことはできません。

たとえば、画面上の案内係と会話しながら手続きを進めるサービスなら、顔や表情が説明を追いやすくする可能性があります。しかし、利用者が素早い回答だけを求める問い合わせでは、音声や文字で十分かもしれません。これは導入先で確かめるべき違いです。

費用にも差が出ます。たとえば1件につきアバターが合計2分話す対応を1万件行うと、映像と音声の出力だけで約7,790米ドルになります。音声出力だけなら同じ発話時間で360米ドルです。どちらも入力などを除いた計算ですが、顔の映像を加える判断が小さな付加機能の選択とは限らないことが分かります。

Google Cloudの発表には企業の評価コメントも載っていますが、映像を付けた場合と音声だけの場合で、完了率や顧客満足度を同条件で測った独立した結果は確認できていません。導入効果を判断するなら、同じ案内内容で比較し、途中離脱や再質問が減るかを見たいところです。自然な映像を作れることと、その映像に費用をかける価値があることは、別々に確かめる必要があります。

3. Google PageBreak:500件超の脆弱性を発見。鍵は「再現してから報告する」設計

Googleは9月24日、社内のWebアプリを調べるAIエージェント「PageBreak」の仕組みを公開しました。同社によると、これまでに500件を超えるクロスサイトスクリプティング(XSS)の脆弱性を発見しています。XSSは、Webページを通じて意図しないプログラムを利用者のブラウザーで動かせてしまう問題です。Googleの技術解説

PageBreakは一般提供された診断サービスではなく、Google社内の取り組みです。特徴は、AIがコードから疑わしい箇所を見つけるだけで終わらず、専用の検証プログラムで、稼働する環境に問題を再現してから報告することにあります。検証プログラム自体はAIが書いたものではないと説明されています。

再現できていない候補は、製品チームにそのまま送らず、追加調査や検証機能の改善に使います。この仕組みにより、誤った警告をほぼゼロに抑えているとGoogleは報告しています。ただし、再現用の機能が対応していない問題を見逃す可能性も、同じ説明の中で認めています。

PageBreakは疑いを専用プログラムで検証し、再現できた問題を報告する。未検証の候補は追加調査に残す
PageBreakは疑いを専用プログラムで検証し、再現できた問題を報告する。未検証の候補は追加調査に残す

コメント:誤った報告を減らす能力と、問題をすべて見つける能力は違う

「誤検知がほぼゼロ」という説明は、報告された問題の確かさを表しています。問題が見つからなかったアプリに弱点が残っていないことまで保証する数字ではありません。検証できる問題だけを報告すれば誤報は減りますが、検証できない問題をどう扱うかは、別に評価する必要があるためです。

この違いは、診断サービスを選ぶ際にも役立ちます。大量の指摘が並ぶ報告書では、担当者が本当の問題を選び直す負担が残ります。一方、再現済みの問題だけを受け取る場合には、そのサービスが調べられる範囲を把握しないと、「報告なし」を「問題なし」と取り違えてしまいます。

PageBreakの事例から読み取れるのは、モデルの回答だけに頼らず、回答を確かめる仕組みを組み合わせた価値です。診断を評価する企業は、検出件数に加えて、再現を確認した証拠が添付されるか、検証できなかった候補がどう扱われるかを比較すると、報告書の実用性を判断しやすくなります。


Link AIでは、業務整理やAI活用テーマの優先順位付け、PoC計画づくりを支援するAIアセスメントを提供しています。自社に合うAIサービスの選定や、導入前に確かめる条件を整理したい方は、お問い合わせください。

TAGSAIニュースMetaGeminiAIエージェント
CONTACT

AI活用の「次の一歩」を、
一緒に。

テーマ探しからPoC、本格導入、現場定着まで。 貴社の状況に合わせて、最適な進め方をご提案します。

  • 01AI導入相談
  • 02SUISHINデモ
  • 03AIエージェント開発
  • 04AI研修

MAIL — info@linkai.co.jp