ChatGPTにIntelligent UI。Haiku 5.5の性能・価格とWindowsのAI制御

1. ChatGPTに「Intelligent UI」。回答の中で図や計算ツールを操作できるように
OpenAIは10月7日、ChatGPTのChatタブ向けに、GPT-6と新しい表示機能「Intelligent UI」の提供を始めました。質問に合わせて、文章、図、ボタン、入力欄などを組み合わせた回答を生成します。たとえば、仕組みを学ぶ際に条件を変えて図の変化を確かめたり、会話の中で計算ツールを操作したりできます。
今回の更新で中心になるのは、回答の見せ方と、回答を受け取った後の操作です。OpenAIは共通の画面部品を用意し、モデルが内容に合わせて配置を決める方式を採用しました。回答全体ができあがるのを待たず、生成途中から画面に表示されます。すべての質問を図解するわけではなく、文章だけが適切なら文章で答えます。OpenAIの発表
対象はChatタブ。プランと推論設定で利用条件が異なる
公式発表では、Plus・Pro・Business・Enterpriseに10月7日から順次提供し、Free・Goへは翌8日から広げる予定です。Enterpriseでは管理者の設定にも左右されます。有料の対象プランには日常会話向けに調整したGPT-6 Sol、Free・GoにはGPT-6 Lunaを使います。今回の発表によって、WorkやCodexのモデルが変わるわけではありません。
Intelligent UIは、InstantからExtra Highまでの推論設定で利用できます。一方、Astraを使う「Pro」の推論設定は対象外です。Proプランを契約していることと、Proの推論設定を選ぶことは別なので、試す際はこの違いに注意が必要です。ChatGPTリリースノート

コメント:図の見やすさに加え、条件を変えて確かめられることに価値がある
ChatGPTは6月にも、回答内に操作できるグラフを表示する機能を追加していました。今回のIntelligent UIは、図だけでなく入力欄や計算ツールなどを組み合わせ、質問ごとに適した回答画面を作る方向へ広げるものです。単に「グラフが動くようになった」と捉えると、以前からの機能との違いを見失います。6月8日の更新を含むリリースノート
たとえば費用の試算なら、文章で「人数を増やした場合も計算して」と何度も頼む代わりに、人数を変えて結果を見る使い方が考えられます。その際、画面が分かりやすいほど、計算の前提を見落とさないことが大切です。固定費と変動費をどう分けたのか、どのデータを使ったのかが分からなければ、操作できるグラフでも判断材料としては不十分です。
応答速度についても、数字の意味を分けて読む必要があります。OpenAIが示した「平均44%早い」は、Web検索が必要な質問で、GPT-5.6 Instantより回答を始めるまでの待ち時間が短くなったという社内評価です。調査や計算がすべて44%早く終わる、という意味ではありません。速度評価の説明
この更新を評価するなら、見た目だけでなく、「条件を変えながら内容を理解しやすいか」「計算や出典を確かめられるか」を見ると、従来の文章中心の回答との差が分かります。
2. Claude Haiku 5.5が登場。大幅な値下げと、推論設定による性能差
Anthropicは10月7日、小型モデル「Claude Haiku 5.5」を公開しました。大量の分類・抽出や、応答の速さが求められる処理を主な用途に挙げています。Haikuシリーズで初めて、推論にかける労力を段階的に選べるようになりました。Claude APIの標準設定はmediumです。入力は最大100万トークンに対応し、Claude APIやAmazon Bedrock、Google Cloud、Microsoft Foundryなどで提供します。モデル仕様
100万トークンあたりの単価は下がった。ただし長文入力では料金が変わる
Claude APIの通常料金を並べると、値下げ幅が分かります。以下はキャッシュやBatch APIの割引を適用しない料金です。
| モデル・入力の条件 | 入力100万トークン | 出力100万トークン |
|---|---|---|
| Haiku 4.5 | 1ドル | 5ドル |
| Haiku 5.5:入力10万トークン以下 | 0.10ドル | 0.50ドル |
| Haiku 5.5:入力10万トークン超 | 0.50ドル | 2.50ドル |
入力10万トークン以下なら、入力・出力の単価はいずれもHaiku 4.5の10分の1です。ただし、10万トークンを超える場合は、出力にも高い方の単価が適用されます。「最大100万トークンを扱える」と「100万トークンまで最安の単価で使える」は異なります。料金表
また、文字列をトークンに分ける方式が変わり、同じ文章でもHaiku 4.5より約30%多く数えられると説明されています。実際の増加率は内容によります。旧モデルの利用量に新単価を掛けるだけでは、費用を正しく見積もれません。移行ガイド

外部評価では性能が向上。高いスコアと少ない計算量は両立するとは限らない
独立評価機関Artificial AnalysisのIntelligence Indexでは、Haiku 5.5はmax設定で43、medium設定で34でした。前モデルのHaiku 4.5は推論ありの構成で17、競合のGPT-6 Lunaはmax設定で38です。
| 評価されたモデル・構成 | Intelligence Index |
|---|---|
| Haiku 4.5:Reasoning | 17 |
| Haiku 5.5:Medium, Default Fallback | 34 |
| Haiku 5.5:Max, Default Fallback | 43 |
| GPT-6 Luna:Max | 38 |
出典:Haiku 4.5、Haiku 5.5・medium、Haiku 5.5・max、GPT-6 Luna・max
この指数のv4.3.2は、文書を使った仕事、ツール操作、コード、知識など10種類の評価をまとめたものです。正答率そのものではありません。また、表は各モデルの掲載構成での比較であり、推論時間や消費トークン数を同じにそろえた試験ではありません。Haikuの「Default Fallback」は評価元の構成名をそのまま記載しています。評価方法
Haiku 5.5が前世代より有力な選択肢になったことは、この結果から読み取れます。ただし、GPT-6 Lunaとの順位はHaikuの設定によって逆転します。モデル名だけで「こちらの方が賢い」と決めると、自分が使う設定の結果を見誤ります。
先行利用の具体例として、Anthropicが掲載したAsanaの報告では、不具合の振り分けやプロジェクト設定などの社内評価で、現行モデルよりタスク完了までの待ち時間が30%超短くなったとしています。これは利用企業の報告ですが、比較相手のモデル名や全条件は公表されていません。一般的な速度差として扱うことはできません。Asanaの報告を含む発表
コメント:「最安モデルを最大設定で使う」が最適とは限らない
Haiku 5.5の改善は、従来から行っていた分類や抽出を、より安い単価と高い能力の組み合わせで処理できる可能性を広げるものです。一方、推論を増やせば、単価が低くても生成するトークンや待ち時間は増えます。
Anthropic自身も、xhighやmaxでは思考と回答が長くなるため、Sonnet 5.5と性能・費用・速度を比べるよう案内しています。逆にlowでは、長い指示の中で検索や確認を省いたり、途中で止まったりしやすいと説明しています。さらに、xhighで複数ターンの会話を行うと、思考部分に回答を書いてしまい、利用者に見える本文が空になる場合もあるとしています。推論設定ごとの挙動
したがって、大量処理への採用を考えるなら、まずmediumで必要な品質を満たすかを確認し、不足する処理だけhigh以上や上位モデルと比べる方法が合理的です。比較する際は、成功した処理1件にかかった費用と時間を、再試行も含めて計る必要があります。今回の値下げを生かせるかどうかは、最も高いベンチマークの点数より、必要な品質をどの設定で安定して出せるかに左右されます。
3. Microsoftがエージェントの隔離基盤「MXC」を正式提供
Microsoftは10月7日、WindowsとローカルAIの新構想を発表し、その一環として「Microsoft Execution Containers(MXC)」を正式提供しました。MXCは、AIエージェントやAIが生成したコードに対して、アクセスできるファイルや通信先の範囲を決め、実行時に制限するための基盤です。6月のBuildで公表したプレビューから、正式提供へ進んだ形です。10月の発表・6月のプレビュー発表
制限をエージェントの外側で強制する
開発者は、エージェントに必要なファイルやネットワークへのアクセスを設定します。その設定はエージェント自身の管理外に置かれるため、AIが自分の判断で権限を広げることを防ぐ設計です。Windowsに加え、macOS・Linuxにも対応する軽量なプロセス隔離など、用途に応じた実行環境を選べます。MXCの技術説明
Microsoftによると、Codex、GitHub Copilot、Replitなどは対応済みで、Claude Codeなどは今後対応する予定です。端末上のエージェントをMicrosoft EntraやAgent 365と連携して識別・管理する機能も、技術説明では今後の提供とされています。MXCの正式提供と同時に、すべての統合機能が使えるわけではありません。対応状況

コメント:同じ「隔離基盤」でも、設定次第で操作を止めない場合がある
導入時に押さえておきたいのは、MXCに次の3つの実行モードがあることです。活動レポートを使えるのは、Windows上のプロセス隔離です。
| モード | 許可されていない操作 | 活動レポート |
|---|---|---|
| Enforcement | 止める | なし |
| Learning | 止めて記録する | あり |
| Permissive | 通して記録する | あり |
出典:MXCの実行モード
Permissiveは、エージェントがどの資源を必要とするか観察し、適切な権限を決めるためのモードです。そのため「MXCを使っている」という事実だけでは、許可外の操作が止まるとは言えません。Learningなら操作を止めたうえで、その理由を調べるための記録を得られます。
たとえば、社内の資料整理エージェントに特定フォルダだけを編集させたい場合、指示文に「ほかのフォルダを触らない」と書くだけでは、実行できる権限自体は残ります。MXCを組み込んだ実装なら、許可範囲を実行環境側でも制限できます。ただし、許可した範囲内で誤った編集をする可能性まではなくなりません。
今回の前進は、AIの判断力にすべてを任せず、実行可能な範囲をソフトウェア側で決めやすくした点にあります。企業が対応エージェントを選ぶ際は、MXC対応の有無に加え、どの隔離方式・実行モードで動くのか、必要な操作記録を別途残せるのかまで確認すると、実際の管理範囲を判断できます。
Link AIでは、企業の生成AI活用に向けた業務整理や、導入効果の検証を支援するAIアセスメントを提供しています。モデルの選定や、エージェントに任せる範囲を整理したい方は、お問い合わせください。