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AI業界動向2026.11.0211分で読めます

DeepSeekが研究用Super-agentを公開、Appleは中国でQwen連携へ|Gemini・AI Builder・Grokの変更

DeepSeekが研究用Super-agentを公開、Appleは中国でQwen連携へ|Gemini・AI Builder・Grokの変更

DeepSeekのHarnessチームは10月31日、GitHub上の依頼を受けてコード修正を進める「dsh-superagent-prototype」を公開しました。対象は一つのリポジトリで、依頼ごとに作業を分け、必要な判断を人に戻す設計です。公開コードには、正式なDeepSeek製品ではなく、本番利用向けに完成したソフトでもないと明記されています。公開リポジトリ

DeepSeekのSuper-agent:コードを書く力に加え、依頼を扱う仕組みを公開

この研究用ソフトは、DeepSeek Harnessに組み込んで使います。GitHubと、任意で接続するFeishuから依頼を受け、作業ごとに専用のセッションとディレクトリを用意し、プルリクエストなどの成果を元の会話へ返します。利用には実行環境とモデル接続の設定が必要です。コードのライセンスはMITですが、これをモデル推論やサーバー運用まで無料になるサービスと捉えることはできません。導入条件

特徴は、人が一つずつ会話を開いて指示する負担を、依頼の受付や振り分けの設計から減らそうとしている点です。許可した人からの依頼と、チームが事前に定めたルールに基づく作業を区別します。推測した作業を扱う初期設定は「observe」で、実際に着手せず、何を引き受けるかを記録します。会話を読めることと、その会話を根拠に新しい仕事を始められることが分けられています。権限の仕様

Super-agentの依頼・作業・人の判断を分ける構成
Super-agentの依頼・作業・人の判断を分ける構成

ただし、作業ディレクトリを分けることは、強い隔離を保証しません。実行仕様では、作業担当のエージェントは運用者のOSユーザー権限でコマンドを実行し、ディレクトリや実行用のラッパーはセキュリティ境界ではないと説明されています。また、公開版は社内版や設計記事と同一ではなく、設計記事で論じた将来の機能がすべて実装されているわけでもありません。実行仕様

先行利用者の報告も、この区別を考える材料になります。11月1日のGitHub Discussionでは、Ubuntu、Node.js 24.14.0、DSH 0.2.1-rc.5の環境で、非公開リポジトリのIssueからプルリクエストまで進めた一方、通知の受信状態の確認不足や、英語以外のロケールでのテスト失敗が報告されています。これは一利用者の体験であり、一般的な成功率や修正済みであることを示す検証結果ではありません。利用者の報告

事業責任者にとっての判断材料は、「自律的にコードを書くAIが初めて登場した」ということではありません。コードを書けても、依頼が届かなければ仕事は始まらず、判断待ちを見落とせば成果を使えません。今回の公開からは、モデルの正答率とは別に、依頼の到達、権限、作業の引き継ぎ、人への確認を評価する必要があると読み取れます。他社エージェントに対する優位性や、人の確認時間の削減率は、公開コードだけでは判断できません。

Apple Intelligenceの中国向け提供を予告。Qwen連携は11月4日からテスト

Appleは10月31日、中国向けのApple Intelligenceを11月4日からiOS開発者ベータ版でテストし、12月のiOS 27.3で提供すると発表しました。文章の書き直しや要約、翻訳、写真の不要物の消去などに加え、AlibabaのQwen(千問)をSiri・作文ツール・ビジュアルインテリジェンスの一部に組み込みます。他のプラットフォームへの展開は必要な承認を得た後としています。Apple中国の公式発表

対応機種はiPhone 15 Pro/Pro Max、iPhone 16以降、iPhone Air、iPhone Duoで、端末とSiriには英語・簡体字中国語の言語設定条件があります。Qwenには専用アカウント、または「Appleでサインイン」でアクセスします。新世代の「Siri AI」と、WWDC 2026で発表されたその他の次世代機能は、今回の対象に含まれません。

中国でサービスを展開する企業が注目したいのは、AIの接点が専用アプリの中だけでなく、端末の文章作成やカメラにも広がることです。ただし、これは日本向けの提供拡大でも、すべてのアプリ操作を代行する機能の開放でもありません。Qwenの性能がAppleの既存モデルを上回ったという比較結果も、この発表は示していません。実際の利用頻度や対応アプリでの使われ方はテスト開始後の評価が必要ですが、顧客がどの画面からAIを呼び出すかを考えるうえで、提供範囲と日程が具体化した意味は大きいと考えられます。

Gemini APIのComputer Useが正式提供へ。実行環境は利用側が用意

Googleは10月30日、Gemini APIの「Computer Use」を、Interactions APIとGenerateContent APIの両方で正式提供に移したと発表しました。画面の画像をモデルへ渡し、クリックやキー入力などの操作を受け取る機能です。プレビューから提供段階が変わったニュースであり、この日に初めてAIによる画面操作が可能になったわけではありません。公式リリースノート

利用者は、モデルが提案した操作を実際のブラウザや端末で実行し、次の画面を送り返す仕組みを用意します。Googleのガイドは、Gemini 4 Argon、推奨モデルのGemini 3.8 Flashなどを挙げ、ブラウザ・モバイル・デスクトップを対象にしています。操作理由を返す機能や確認が必要な操作の判定もありますが、画面内の悪意ある指示を検出する機能は初期設定で無効です。Computer Useの仕様

料金を見る際も、正式提供という区分と実際の処理費用を分ける必要があります。たとえばGemini 3.8 FlashのStandard有料枠は、100万トークン当たり入力0.75ドル、思考分を含む出力3.75ドルが2026年12月31日までの料金で、2027年1月1日からはそれぞれ1.50ドル、7.50ドルになると案内されています。これはモデルの単価であり、画面操作一件を完了させる料金ではありません。公式料金表

画面操作では、途中のスクリーンショットや次の指示のやり取りが繰り返されます。同じ入力単価でも、操作の往復ややり直しが多ければ完了までの費用は増えます。今回の正式提供を検討材料にする場合は、対象画面での成功率と完了までの費用を一緒に見ると、採用判断につながります。GAの発表自体には、プレビュー版からの同条件の成功率改善や、競合に対する性能差を示す新しい比較結果はありません。

AI Builderは11月1日から契約条件が変化。既存クレジットは契約期間が基準

Microsoftが10月22日に案内したAI Builder容量アドオンの販売終了は、11月1日に適用日を迎えました。AI Builderの機能そのものは継続します。変わるのは利用容量の購入・付帯の仕組みで、アクティブな契約に基づくクレジットは、現在の契約期間が終わるまで利用できます。Microsoftの案内

Power AppsやPower Automateなどの対象ライセンスに付く「付帯クレジット」も、契約日によって扱いが分かれます。現行のライセンス説明では、11月1日以降の新規購入・更新には付帯せず、それ以前に購入・更新した対象ライセンスは契約期間の終了まで付帯が続きます。ライセンスの説明

対象変更の内容既存契約への影響
AI Builder容量アドオン11月1日から販売終了現在の契約期間中は既存クレジットを利用可能
対象ライセンスの付帯クレジット11月1日以降の新規・更新では付帯なしそれ以前の対象契約は期間終了まで継続
AI Builderの機能機能提供は継続継続利用に必要な容量を確保する
AI Builderの付帯クレジットと契約更新日の関係
AI Builderの付帯クレジットと契約更新日の関係

Microsoftは、AI BuilderクレジットをCopilot Creditsへ自動変換しないと説明しています。Power AppsやPower Automateでは、まずAI Builderクレジットを使い、足りなければ利用可能なCopilot Creditsを使う順序です。どちらも利用できなければ、該当機能の実行が失敗します。また、アドオン契約の自動更新は、次回更新前に停止するよう案内されています。移行日程とFAQ

この変更の影響を判断する単位は、会社全体の「11月1日」だけではなく、それぞれの契約満了日です。たとえば、既存の付帯クレジットで帳票処理を動かしている企業では、更新後に同じ利用容量が付く前提で費用を見積もると不足が生じます。一方、契約期間が残っているのに、すべての既存クレジットが同日に失効したと考えるのも正確ではありません。旧クレジットと新クレジットは用途ごとの消費率が異なるため、枚数や処理回数に戻して費用を確認する必要があります。

Grok APIは11月7日から透かしを既定で有効にする予定

Grok APIの10月31日更新の仕様書は、11月7日から、Grok 4.7、4.6、4.5、4.3と4.20系3モデルのテキスト出力に、目に見えない透かしを既定で適用すると案内しています。対象には通常の文章に加え、構造化出力やツール呼び出しの引数も含まれます。生成時の単語の選択に統計的なパターンを持たせる方式で、隠し文字を追加する仕組みではありません。Grok APIの公式仕様

要求の書き方は変わらず、応答ヘッダーの x-watermark: true で適用を確認できます。管理者の設定はモデル単位でチーム内のすべてのAPIキーに及び、無効化できないモデルもあります。提供元は品質や速度に影響しないと説明していますが、その程度を測った独立した比較結果は未確認です。

Grok APIの生成時の透かし、応答時の確認、後からの検出の違い
Grok APIの生成時の透かし、応答時の確認、後からの検出の違い

ここで分けたいのは、受け取ったAPI応答での適用確認と、出所の分からない文章を後から判定することです。後者は統計的な検出で、「判定できない」場合もあり、検出APIの利用には申請が必要です。透かしがあっても文章の正しさを保証するわけではありません。出所の確認を自社サービスに組み込みたい企業にとっては、透かしの有無だけでなく、検出できる範囲と判定が曖昧な場合の扱いが設計上の論点になります。

AIの実行環境や既存サービスへの組み込み、利用容量の見直しを検討する際は、Link AIのAI導入・開発支援をご覧ください。利用中の構成に即した検討は、お問い合わせからご相談いただけます。

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